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メメント

自分の妻がレイプ殺人にあってしまい、それをきっかけに10分程度しか記憶が維持できない「前向性健忘症(※1)」にかかってしまった主人公レナードが、自らの記憶と戦いながら妻を殺した犯人を追うサスペンス映画です。

ストーリー的には特に目を見張るものがあるわけではありませんが、まずは結末から見せていき、徐々にそれにいたる経緯や動機を“巻き戻し”感覚で見せていく構成はまさに脱帽です。何の予備知識も無しに観た場合は多少混乱するかも知れませんが、想像していた以上に理解しやすい構成になっていたので、主人公に感情移入するのにそう時間はかからないと思います。まさに監督のセンスと才能の一端を垣間見る事ができる、非常に完成度の高い純粋な“映像作品”と言えるでしょう。

この映画を観て、ブラッド・ピットとエドワード・ノートンが共演した「ファイトクラブ」と重なるイメージを持つ人が多いようですが、個人的には「0080 ポケットの中の戦争」、「トータルリコール」といった作品を思い出します。メメントはこの両作品の持つテーマ性をうまく兼ね備えているのですが、単にそれだけにとどまらず、様々な要素をバランスよく詰め込み全体的な完成度を高めている部分に好感が持てます。しかし、そのストーリー上圧倒的に情報量が多く、特に終盤になると怒濤の勢いで物語が進行していくので、最初に1回観ただけではすべてを理解するのが困難だと言えます。2回、3回と根気よく観ていく事で次々と新たな発見が生まれ、今までとは異なる視野が突然目の前に広がるかも知れません。まさにこの映画を観た人の数だけストーリーが存在するといっても過言ではないでしょう。提示される膨大な情報を元に、どのように整理してどのように処理するのか? 映画を見終わった後の余韻に浸る暇もないまま、山のような課題を提示された気分です(笑)。

主役を演じるのはガイ・ピアース。「LAコンフィデンシャル」の刑事役といえば思い出すのではないでしょうか? 他にも「プリシア(※2)」に出演して話題となっていましたが、一貫して感じるのが“ガイ・ピアースという人物のイメージが湧かない”ということです。つまり、同じ人物が演じてるとは思えない程、役柄によってイメージが異なるということです。その他にも、脇を固めるのがキャリー=アン・モス、ジョー・パントリアーノといった「マトリックス」にも出演した2人。特にジョー・パントリアーノの『レェ〜ニィ〜!』というセリフまわしは最高! 一度聞いたら頭から離れなくなります(笑)。

2001年の3月16日の公開当時は11館での上映でしたが、それ以降口コミによって徐々に噂が広がり、上映10週目には531館にまで拡大。その後も躍進は続き、現在でもロングヒットを続けています。日本での上映は昨年末からなので、まだまだこれからが“熱い討論の本番開始”といった感じかも知れません。メメントのような観る度に新しい発見があるようなタイプの作品は、ビデオやDVDで何度もじっくり観たいところなので、当分の間は話題が尽きる事はないでしょう。みなさんもこの映画を観て、自分の記憶能力(メメント)に挑戦してみてはどうでしょう?
(2002/01)

※1
発症時以前の記憶はあるが、それ以降の記憶に障害が残り、新しい事を覚え込む機能が弱まる症状。人によっては数分前の出来事さえ忘れてしまう。現在、治療法は見つかっていない
※2
ドラッグクイーンの旅を描いた94年のオーストラリア映画
本文:ボブ爺

監督:
製作:
原作:
脚本:

出演:

クリストファー・ノーラン
ジェニファー・トッド
ジョナサン・ノーラン
クリストファー・ノーラン

ガイ・ピアース
キャリー=アン・モス
ジョー・パントリアーノ

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