シュリ
ハリウッド映画を大いに意識した構成で、特殊効果やCGI(若干胡散臭いが)を随所にちりばめたアクション大作となっています。三星映像事業団が30億ウォンという韓国映画史上最高の製作費を投資したこともあって、公開前から様々な面で取り上げられていたとは思いますが、やはりポイントとなるのは「朝鮮半島分断」という歴史事実を元にして、「祖国統一」という想いを「南北間の実りえない恋愛」というわかりやすい題材に置き換えて語っているところでしょう。
ベースとなっているのが歴史的に重要な事実だったりするので、ある意味ネイティブな人でなければ真に理解するのは難しいかも知れません。しかし、基本は「アクション+恋愛」という非常に分かりやすい内容であり、そもそもが韓国的視点で最初から最後まで語られていたりするので、純粋に「映画」として観て楽しめるように製作されているのだと思います。なので今回は素直に娯楽映画としてとらえてみることにします。
まずは全編を通して気になるのがアクションシーン。余りにも理不尽で矛盾の多い銃撃戦が繰り広げられるので、ストーリー的に感情移入していたとしても、あっさり目がさめて現実に引き戻されてしまいます。矛盾点を上げだすとキリがありませんが、そもそも至近距離で同一直線上に立つ人間同士が向かい合って銃を乱射しているのに、なぜまったく当たらないのでしょうか? しかも北朝鮮特殊8軍団がCTXを強奪する場面だと、一方的に韓国兵士のみがバタバタ倒れていきます。北朝鮮軍の圧倒的武力を感じさせたいのかも知れませんが、これはいくらなんでもやりすぎでしょう。あまりにも非現実的すぎるので、観ていて阿呆らしくなってしまいます。しかし、よく考えると“棒立ちで銃をひたすら乱射”というシーンが多いことに気が付くので、もしかすると「ヒート(※1)」に見られるような“圧倒的圧力による銃撃戦の美”を演出したかったのかも? まぁ、それにしては説得力がなさすぎますが…。
バブリーなハリウッドの超大作映画と比較すると、どうしてもアラの多い特殊効果や消化不良のアクションに悩まされてしまいますが、逆に練り込まれた物語の演出構成や、俳優達の圧倒的演技力(※2)を真に感じることが出来ます。全体的に捕らえると、このあたりのバランスが微妙でもあるのですが、おそらく全体的な完成度を向上させるために、製作側(監督)が自らこだわる部分とそうでない部分をハッキリとコントロールしているのだと思います。その結果が良いようにも悪いようにもはたらいていますが、その割り切りがあったからこそ、ここまで大々的な支持を得られる作品になったのだと個人的には思います。どういう角度からでもツッコむことができ、なおかつそれなりの答えを提示してくれる。オマケに考察する隙を与える微妙な矛盾点(笑)も多く含まれている。そう考えると、ある意味“大作”だと言えるのではないでしょうか。
(2002/03)
アル・パチーノとロバート・デ・ニーロが共演した、マイケル・マン監督のアクション映画。ロバート・デ・ニーロが尋常じゃない程格好良く、久々にキレのある姿を見せてくれるので必見。語りだすとキリがないが、随所にマニア心をくすぐる要素が満載
特に第8特殊部隊隊長のパク・ムヨン役を演じるチェ・ミンシクの存在感はなかなか。主役でもないのに、「百想芸術大賞男優主演賞」「大鐘賞男優主演賞」を獲得するなど、韓国トップスターで主役のハン・ソッキュすら凌駕する評価を得ている
カン・ジェギュ
イ・グァナク
ピョン・ムリム
キム・ソンボク
ウォン・ミョンジョン
イ・ビョンハ
イ・ドンジュン
チョン・ドゥホン
チョン・ドアン
ユン・エリョン
メカド
チョ・ソンベ
ファン・ソシク
サムソン・ピクチャーズ
カン・ジェギュ・フィルム
ハン・ソッキュ
キム・ユンジン
チェ・ミンシク
ソン・ガンホ
ユン・ジュンサン
ナム・ミョンニョル
パク・ヨンウ
チョ・ドッキョン
パク・チョンムン
チョン・ジノ
キム・スロ
キム・サンミ
パク・ウンスク
オ・サンム